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【白鵬・その7】日馬富士との一番



2010年秋場所は、双葉山の「69」を目指しての48~62連勝の一番脂がのっていたとき。白鵬曰く、「後の先」が完璧に決まったという一番を振り返る。


千秋楽の日馬富士戦(大関)

日馬富士の立ち合いは完璧に思えたが次の瞬間、白鵬は何事もなかったかのように、日馬富士の体を軽々と押し戻し、あっという間に外に押し出した。


突き刺さるようなスピードと威力の立ち合いに対し、白鵬は一呼吸遅れゆるゆると右足から立ったが、立ち合いの間を合わせ、決して拍子を外さなかった。


後日、白鵬振り返りのコメント。

「攻めを受けながら自分の型になる。(私の場合)右が入るとかね。まず右が入って自分の型にもっていく。それで(右下手の)まわしを取ろうと思ったけど、相手が巻替えにくるんですよ。その分おっつけながら、左を決めてるから前に出る、と。相手は巻き替えにきたからそこで『ツァッ』て出たっていうのはあるかもしれない。相手も巻き替えようとして腰が起きてるから残せない。」


「後の先だったから『完璧にこなした』っていうね。自分から攻めなかったからね。日馬富士の当たりが良かっただけに、後の先ができたのかもしれないね」。


その取組みがこちら。白鵬 vs 日馬富士戦(秋場所千秋楽2010/9/26)




先手必勝の常道にたいして「後の先」は「受けて立つ」、しかし遅れて立ちながらも、組み合ったときには自分が有利な体勢を作っている。


動画を確認するとこの場所は5回、右足から踏み込んだ「後の先」の取り口がある。


秘密裡に2つの「型」の使い分けと深化を堪能と、頂き(双葉山の69連勝)まであと少しの緊張が共存してただろう、この場所の白鵬の心中を思うと心が震える。

ただ「型」「技」への執着は落し穴にも。次のテーマは『流れ』や『無意識』。


朝田武蔵というジャーナリストが丁寧に取材、ロングインタビューで白鵬のそれに迫ってくれた『白鵬伝』と、彼の自著や実際の取組み(Youtube)を参考に、テーマを何回かに分けて書いてみる

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