あこがれの千代の富士
「若いころ千代の富士のビデオをよく見てまして…」
白鵬の守破離(しゅ・は・り)の守は千代の富士の模倣だった。
千代の富士の『左前みつを取って一気に走る』相撲。右指し、左上手からの切れ味鋭い上手投げはその後、白鵬スペシャルと言われる。
技のテーマは『左前みつの確保』、18才の頃。
立ち合いから自分の型になろうと心がけ、右四つの型を錬磨する。その勲章か、白鵬の右耳は柔道耳ならぬ相撲耳でつぶれた。右指しのため頭を左に寄せてぶつかり相手の頭で擦るのだ。2003年の幕下時代から取り組んできた型を習得した2006年の2場所で大関昇進を決め、夏場所で初優勝した。
脂がのりきったその時期は勝負決めた技にはたき系も増加している。
左上手をとってひきつけるだけで相手が浮いてそのまま寄り切り。左腕1本で吊りだしたようにも見えるという、まさに立ち合いの一瞬で勝負を決める。
「力で負けてのはたき込みではないんですよね、立ち合いで圧倒してね。押してからのはたき。引いていなしても効かないからね」と白鵬。
日々の稽古、部屋や先人から学び真似て自分の型をもつこと、練り上げて戦える技にする。得意技をもつことの自信と強み。達人への道の確かな第一歩、「守」と言えよう。
次回からは、いよいよ「後の先」について。
朝田武蔵というジャーナリストが丁寧に取材、ロングインタビューで白鵬のそれに迫ってくれた『白鵬伝』と、彼の自著や実際の取組み(Youtube)を参考に、テーマを何回かに分けて書いてみる
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