「合気道はなぜ強いのか?」から考える武術論(その10)
先の「n-1エスケープゲーム」、複数人との試合がどうなったかと言うと…
結構な格闘技歴者がパニックに陥ってなにもできなかった。その場にしゃがみこんでしまったり、打撃系の間合いを取るクセの人は壁に押し付けられて詰む…組んで投げてもしがみつかれたらもう一人にボコられる…。
このルールで求められる能力は
足を止めず、動き回る能力
両者の外に回る判断力と回る能力
瞬間に崩し、投げるか、倒すか、飛ばす能力
とどめを刺す能力
中国武術や合気道のすばらしい技術
こう整理すると中国武術や合気道の人は自分たちの学ぶ技術に大きな信頼を持てるのではないだろうか。
ところで、なぜ技術を学んだ者がこのルールだといきなり動けなく、出力できなくなるのか?それは相手が2人になると他律度は2倍ではなく一気に天文学的に大きくなったと感じてしまうからだ。これを克服する行程として
このパニックを経験する
パニックの中でも一つ技を出す
成功体験を基に自分の核となる技を作る
を挙げる。
出力を決定づけるポイントとしてもう一つ、「選択」という能力。
チェスの名人がパッと盤面を見ただけで打ち方が分かるのは、過去の同じような状況・経緯を思い出すから。知らない、体験がないことは直感的に選択できない。そして理性による選択が繰り返されることで自分の直感を磨くことになる。そして選択肢が多すぎて迷うのではダメで、有用なものを少数見つけ出す能力が肝となる。
技は多ければ多いほど良いと考え、より多くの型や多くの技術を求め収集する武術マニアが多いが(もちろんそのような楽しみ方はアリだが)、技の横への広がりではなく、垂直方向に掘り下げる研究や方法論が無かった。
パニック時に達人のような動きはできない、する必要はない。まずは自分がたった一つの技を出せるかどうか?出力の糸口を見つけることから開始しなくてはならない。(続く)
引用の文献「合気道と中国武術はなぜ強いのか?(山田英司)」
整理されたり考えたことを書いていくが、あくまで金子の咀嚼、編集であることご容赦
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